カテゴリー「■感激の演劇」の記事

2009年4月 4日 (土)

マイ・スィート・フレンズ「お弔い」甘党男子と甘い男

Photoる週末、ご近所の友人夫妻、NYC帰りの友人夫妻、そしてお気楽夫婦の3組、6人が集まった。「お弔い」のために。とは言っても誰か親しい方が亡くなられたわけではなく、ラック・システムという劇団の芝居を一緒に観にいくために。この劇団の公演は、NYC帰りの友人夫妻が渡米前から6人揃って観に行くのが恒例だった。「お祝い」「お弁当」「お見合い」と全ての公演タイトルに「お」が付く。10周年記念公演「お願い」や12回公演「おたのしみ」は2組だけで観劇。そして、6年ぶり、待望の3組での観劇が15周年記念公演「お弔い」という訳だ。劇団を主宰するわかぎゑふ(大阪出身)の脚本は相変わらず丁寧で、優しく、破天荒。戦後間もない昭和30年前後の大阪のお話。毎回、大阪弁にこだわった、けれど大阪以外の人にもきっちり伝わる、観終わった後に明るく元気になれる芝居。しょ〜もない登場人物にも、「しゃ〜ないなぁ」と笑える設定。

Photo_2 度も観ている劇団だから劇団員もすっかりお馴染み。特に、コング桑田という俳優(怪優?)は、6人揃って大のファン。コングさんは、わかぎゑふが主宰するもうひとつの劇団「リリパット・アーミーⅡ」所属。「レ・ミゼラブル」などにも出演する舞台俳優。妻とご近所の友人(妻)などは、お芝居だけではなく、ゴスペルが得意な彼のライブにも行ってしまうほど。ちなみに終演後のステージで「物販」のお知らせをするのも彼の役目。「パンフ買うて!」と彼が言うからか、「買い始めたら切りがないから」という理由で普段はパンフレットなど買う素振りも見せない妻なのに、彼の出演する芝居だけは毎回パンフレットを購入し、嬉々としてサインをもらう列に並ぶ。今では顔なじみとなり、短い会話を交わすこともある。東横線の車内で偶然会って挨拶した時にははにかんで応えてくれた。そんな豪快な見てくれと繊細さが同居するキャラクターが可愛い。

Photo_5 Photo_6しぶりだったけど、やっぱり面白かったぁ♪」「あの場面で、あの登場の仕方は卑怯だよねぇ、もう、おかしくって。飛び道具だよなぁ」「○ちゃんの笑い声、大きかったよね、今回は一番ツボにハマってたね」終演後の劇評とも言えない感想を言い合いながら食事をするのがもうひとつの楽しみ。そして最後はお気楽夫婦のリビング、BAR808でお酒を飲んだり、デザートを食べたり。その日のスィーツはご近所の名店「ラ・ヴィエイユ・フランス本店」のマカロン。この店はお台場のグラン・パシフィック・メリディアンにアイスクリーム専門の店があり、それもお台場の店が先にOPENしたのに、こちらが本店。整体の先生にいただいたこの店のチョコが美味しかったため、地元の店を知らないのはいかんっ!と芝居の前日に出かけて買って来たばかり。友人たちの反応はどうだろう。

Photo_7 Photo_8ぇ〜、オサレっ!美しいねぇ」「うん、美味しい♪」「ねぇ、お店ってどこにあるの」うむ、なかなか好評。お酒が飲めない上に甘いものが大好きなご近所の友人(夫)も、思わずニコニコ。彼は最近増殖しているという「甘党男子(あまとうだんし:ama-dan)」のハシリ。「美味しいっすね。今度買いに行ってこよぉ♪」彼はアパレル会社勤務という職業柄か、デパートに入っているスィーツショップにも詳しい。その日、NYC帰りの友人(夫)がバレンタインのお返しと持参して来たのは「ねんりん家」のバーム・クーヘン。その店の名前にも「あぁ、ここ美味しいっすよね♪」と素早い反応だった。さすが甘いもの好き。しかし、なのに、タバコを止めた反動肥満も解消し、すっかり以前の体重に戻った友人(夫)。甘いものが体重増加の原因とは限らない。

れに対し、バレンタイン前後から続くお気楽夫婦の甘い生活で、ジムに通い、節制もしているつもりながら、ややウェイト・オーバー気味の私。余分な脂肪とはオサラバしたい、弔いたい。けれど、友人たちが帰った後、「今日もポッキー食べちゃうもんねぇ♪」とのたまう妻。そして、つい釣られて酒を飲む私。いかん、いかん。甘い、甘い。甘党男子と自分に甘い男、どちらが身体に悪いのか・・・。

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2009年3月21日 (土)

みんなで踊ろう!歌おう?「マンマ・ミーア!」

Photo_2 のミュージカルは、合計5回観たことになる。汐留で3回、NYCで1回、そして六本木で1回。汐留は言わずもがなの劇団四季のステージ。電通四季劇場「海」のこけら落し公演。ミュージカルを観て、立ち上がって踊った初の体験。演出に文字通り踊らされたのかもしれないけれど、そこはABBA世代。ユーキャン ダァンス!ユーキャン ダァ〜ンス!と歌われればダァンスィング♪してしまう。仕方ない。2度目はご近所の友人夫妻を誘い、一緒に踊った。友人(夫)に「IGAさん、真っ先に踊ってましたねぇ」とか言われながら。そして、ロングラン公演も終わりだと聞いた頃、「マンマ・ミーア!」がすっかり気に入った彼らと一緒に再び汐留に向かった。名残惜しさを感じながら、3度目の公演でも立ち上がり、踊った。

Photo4度目はNYCの友人夫妻と一緒に。当時、友人(夫)は人気のチケットを取るために、「日本からVIPが急に来ることになった。取れないと大変なことになる!」と無理やり(半ば脅して?)チケットをゲットしてくれた。さすがの英語力とネゴシエーション力。そして、シャイな日本人があれだけノリノリなんだから、ブロードウェーであれば、さぞや!と思って期待しながら劇場に向かった。さすがに4度目だし、ストーリーはばっちり。歌はもちろん問題なし。そして、エンディングだぁ。ダンスィング・クィーン!イェイ!・・・え!誰も立たない。踊らない。アラバマやらアイダホ(想像)から来ていた爺ちゃん、婆ちゃんたちは踊らなかった。踊れなかった。きっとABBAは知らなかったのだと思う。不完全燃焼。・・・それから5年。「マンマ・ミーア!」が映画化されたとのニュース。行かねば!

・・・と、思いながら映画館になかなか行けない日々が続いた。芝居と違って前もってチケットを予約する習慣がないため、行きそびれていた。そこに故郷に住む弟からメール。「娘が急遽東京に行くことになったんだけど、会場までエスコートしてもらえない?」ん?何?「皆で一緒にマンマ・ミーア!を観ながら映画館で歌おう!というイベントがあって・・・」何!楽しそうじゃないか!ところでなぜ娘(19歳)がABBAなの?マンマ・ミーア!なの?聞けば、中学の修学旅行で四季の「マンマ・ミーア!」を観て、家に帰り報告すると父親(弟)が手ぐすね引いて待っていた、という訳らしい。なるほど。彼らはカラオケ・スナック(ボックスではなく)でデュエットしたり、震災直後の神戸でボランティアに参加した場所を共に再訪したり、実に仲の良い親娘。今回も後から娘に合流するという。お気楽夫婦はイベント当日は会えず、翌日ランチを一緒に取ることに。

Photo_3ビルで仲良し親娘と待合せ。ところで、イベントはどうだった?「みんなで歌おう!カラオケナイト!っていう英語歌詞字幕付きの上映があって、でも今回のイベントの主催者が行った時は誰も歌わなかったんだって。それで、これはいかん!ということでMixiのコミュで募集して賛同したメンバーが100人弱集まったという訳。娘が最年少参加者で、俺が最年長参加者だったんだ」なるほどねぇ。彼らと別れた翌日、さっそく六本木TOHOシネマズへ。そこは前々日に姪が歌った場所でもある。映画はステージと違って当然ロケが可能。ストーリーの広がりも、映像の広がりもステージとは段違い。もちろん出演者たちの顔もアップにもなる。だからこそ、ドナ役のメリル・ストリーブの皺が良い。その後のステージ衣装とのギャップが際立つ伏線になる。ステージでの“良い娘”過ぎる設定より、ソフィ役のアマンダ・セイフライドが良い。チャーミングなソフィの魅力が画面に溢れる。そして、何よりもABBAの楽曲が良い。思わず小さく口ずさむ。うん、確かに歌いたくなるね♪

ん、そう言えば「DVD出たら買うよ♪」と弟が言っていた。そしたらみんなで、歌おう!踊ろう♪ユーキャンダンス!YES!We Can!「え?私は良いよ」妻の答は予想通り。

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2009年3月 8日 (日)

“ふつ〜”を味わう「夜の来訪者」

Photo田安則という名前を聞いてぴんと来る人は多くはない・・・のか。段田男(だんだだん)というインパクトのある芸名の演歌歌手もいたなぁ。番場蛮(ばんばばん)というのは、確か少年ジャンプに連載されアニメ番組にもなったマンガ「侍ジャイアンツ」の主人公だった。そう言えば今年のWBCの日本チームの愛称は「侍ジャパン」だったけど・・・音感だけの連想はオヤヂの始まりであるけれど、最近のお笑いでもそんなネタを持ったコンビもいたような、いないような。という訳で、段田安則だ。小劇場第三世代の代表的劇団「夢の遊眠社」に所属していた。と言っても段々通じなくなってしまうけれど、野田秀樹が東大在学中に結成した人気劇団。段田の他に、上杉祥三、羽場裕一、松澤一之などがいた。同時代の人気劇団に向上尚史が率いる「第三舞台」があった。そうか、もう20年も前の話か。

の段田安則が初演出の「夜の来訪者」を観た。会場は紀伊国屋ホール。観終わるといつも「お尻が痛い!」と妻が愚痴る昔ながらの小劇場。小劇団の憧れの劇場でもある。う〜ん、なかなか本題に入れない。つまらなかった訳ではない。渡辺えり、高橋克実、八嶋智人、岡本健一、坂井真紀らの贅沢なキャスティング。脚本も有名なサスペンス。小さな「事件」とも言えない1人の女性の自殺の報が、平穏だった実業家宅を訪れた警官によって伝えられ、その一族のひとりひとりに次々に波紋を呼び・・・。作られ過ぎた感じのストーリーが現実感をなくしてしまったのかもしれない。翻訳劇を日本で上演することの難しさもあるかもしれない。“上流階級”“成金”の存在を揶揄する視点が現在とギャップがあったのかもしれない。しかし、上演前に70年代のニュース映像を流すことで時代背景を柔らかく伝えたはずだ。現在にも通じさせるネタも加えられていた。

ぁ、そうだったんだ。大正時代の話かと思った」開演に間に合わず、冒頭の映像を見られなかった妻の感想。そうか、あんな台詞まわしは日常的ではなくなったばかりか、パロディでしかあり得なくなったんだ。「お父様ったら・・・」「君には期待しているんだがねぇ」というような家族の会話。親と子、兄弟の距離が良くも悪くも縮まり、家族の間で丁寧語や敬語が使われることがなくなってしまった。姉妹のような母娘、父を尊敬できない息子。そんな親子間のコミュニケーションに敬語はない。「早い話が面白くなかったってこと?」いえいえ、楽しいことしか記事にしないというコンセプト。取り上げること自体で肯定的。でも、ちょっと歯切れが悪くないか?確かにそうかもしれない。ここ数年、観終わった芝居のコメントを書くことが極端に少なくなったのは、「楽しい」の基準が上がってしまったのではと思い、書き始めたのがこの舞台の記事だった。

味しいものも日常的になってしまえば、普通の味になってしまう。「美味しい」「楽しい」の水準を一度上げてしまったら、下げることはできない。下げる必要もないのだけれど、自らの評価の最高水準のものと比較して否定してはいけない。それぞれを味わい、楽しむ姿勢が大切。舌や目が驕ってしまっては日々の「美味しい」「楽しい」を楽しめない。「なぁんだ、早い話が面白くなかったってことなんじゃない。野田とかと比べちゃうからいけないんじゃないの?私は“ふつ〜”に面白かったよ♪」いや、だから違うんだってば。・・・ん、でもその表現良いね。「夜の来訪者」ふつ〜に面白く、楽しい芝居でした。

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2009年3月 7日 (土)

ビバ!エスパーニャ!「アンダルシアの嵐」

PhotoNYC帰りの友人夫妻とスペインに出かけた。最初の訪問先はアンダルシア。地下鉄丸ノ内線/南北線の後楽園駅から徒歩2分。期間限定のスペイン。2004年に逝った天才ダンサー、振付師、そして演出家でもあったアントニオ・ガデスが率いた舞踊団が来日していた。会場は文京シビック大ホール。1,800席余りの大箱。「カルメン」「アンダルシアの嵐」「血の婚礼/フラメンコ組曲」3部作の日替り、全10公演。ガデスがいない「アントニオ・ガデス舞踊団」。入りが心配になるのは前職の頃からの習い。しかし、雪混じりの荒天なのに8割方埋まった客席。ほっとしたながら開演を待つ。幕が上がり、シンプルなステージの上に立つ群衆。フラメンコ独特の手拍子(パルマ)、タップの音が会場を包む。一糸乱れないダンサーたちのステップ。うぁ〜鳥肌。一瞬の内に“ガデス・マジック”の虜になる。

Photo_2 の日の演目「アンダルシアの嵐」は、横暴で好色な地頭に対し、農民たちが鋤や鍬を手に立ち上がるストーリー・・・。スペイン語が分からず、フラメンコに造詣が深い訳でもない2組の夫婦には、チラシに書かれたそんな短い解説しかヒントがない。果たして2時間弱の舞台を楽しめるのだろうか。寝不足の妻は眠ってしまわないだろうか。・・・しかし、すぐにそれは杞憂だったと分かった。ダンサーたちの踊り、つま弾くスパニッシュギターの音色、そして何より舞台全体が醸し出す空気で、難なく登場人物たちに感情移入でき、日本語なしでスペインの田舎の物語が理解できるのだ。そして何よりも心震える群舞。質素なドレスの裾がエロティックに翻る。タップのリズムが会話になる。農民たちの嘆きが、怒りが、喜びがダンスということばになる。パルマのリズムが人々の声になる。囁きになる。

B448002ps3 の訪問先はスペイン名物、バル。向かったのは、ビルの中にある小さな店。文京区のアンダルシアからタクシーで10分程の距離。「ふぅ〜っ!ただものじゃないね。凄い人たちだね」アンコールで幕が上がる度に、舞台の1シーンが再現される演出に驚いたという妻が溜息を付く。「いやぁ〜楽しかったぁ♪」「イギリスにいた頃、2週間ぐらいスペインを旅したんです。夏の暑い時期で、安ホテルのエアコンは壊れかかっていて・・・」NYC帰りの友人夫妻がスペインの思い出を語る。舞台の興奮が残る中、冷たいセルベッサ(ビール)で乾杯。トルティージャ(スペイン風オムレツ)、ハモンセラーノ、カジョス(牛モツの煮込み)、何種ものアヒージョなど小皿のタパスをたっぷりオーダー。「うん、どれも美味しいぃ♪」お気楽で、お手頃な料金で、きっちり美味しいスペイン居酒屋だ。

B448002pm8_bル エスパニョール ラ・ボデガ」というのがお店の名前。(注:撮影忘れのため、写真をぐるなびのサイトから無断借用。お詫びにリンクしておきます)スタッフの気配りも心地良く、なかなか良いお店。友人夫妻はサングリア、私はカヴァ。その後はワイン。お酒も進む。気分はすっかりスペイン。実は、今夏のヴァカンスは、スペイン行こうかと計画してみた。しかし、どう頑張っても実質5日ぐらいしか滞在できないことが分かった。ということであっという間に断念。そこで企画した文京区と千代田区の小さなスペインの旅。「お食事もうすぐラストオーダーですけど、パエリアはぜひ召し上がってみてください♪」う〜む、絶妙のタイミング。お薦め上手。ではシーフードのパエリアお願いします!・・・スペインではきっとこうは行かない。ん、TOKYOで楽しむスペイン。かなり楽しい。良い感じ。

も、スペインにはいつか行ってみたいなぁ♪」と妻。「あぁ、ぜひ行きましょうよ!」と友人(妻)。「良いとこですよ」と友人(夫)。うぅむ。彼らのおかげでお気楽度数が増しているかも。はい、いつかご一緒に。ビバ!エスパーニャ!

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2009年2月21日 (土)

芝居とドーナツ、妄想と現実「テーブルマナー」

Photoの中には一方的な知り合いがいる。それを普通は、知り“合い”とは言わないのだけれど、身近に感じてしまう余りに相手も自分を知っていると思ってしまう誤解、というか錯覚。例えば、芸能人を街角で見つけると「あら、さんまちゃぁ〜ん♪」とか言いながら肩を叩いてしまう症状。大阪方面のオバちゃんにその傾向が強い。テレビという視る側にとっては日常的存在に毎日のようにその人が現れ、結果、毎日のように(視ている本人にとっては)会っているが為に現れてしまう気持。感情移入してしまい、テレビに向かって相槌を打つという奇態が表出する。自覚もなしに。怖い。・・・ところが、身体の中に小さなオバちゃんが棲む私にも、そんな感情があった。松尾貴史が主宰する「AGAPE store」#13公演「テーブルマナー」を観ながら、そんな感情を抑えようとする自分がいた。

Photo_2 演は、松尾貴史、最近はすっかり舞台女優の島田歌穂、「猫のホテル」の市川しんぺー、佐藤真弓、D-BOYSの柳浩太郎、そして大和田美帆。さて、私の中の小さなオバちゃんが疼いた出演者とは・・・。毎朝、薬丸くんと一緒に「・・・オープンですっ!」とポーズを取る母、野沢直子の迷曲「大和田獏」で有名な?父を持つ、美帆ちゃん。(もう既にちゃん付け!)毎朝見かける母、岡江久美子に親近感を持つが余り、すっかり親戚のオジさん気分。彼女はもう新人ではないし、安定した演技だし、巧いのだけれど、どきどき。ドタバタ不倫劇の役柄に、はらはら。自分の姪っ子が舞台に出ていて、トチるんじゃないかと思ったり、ダメだぁっ!そんなことをしちゃぁ〜っ!姉(島田歌穂)の夫(松尾貴史)になんか騙されるなぁ・・・とか。身体の中のオバちゃんが叫びそうになる。

Photo_3 居を観終わり、そんな勝手な妄想の切れ端を抱えたまま、劇場を出る。そう、一種の妄想。しかし、そんな感情移入させる程の芝居だったという言い方もある。でも何かすっきりしない。「面白かったね♪」松尾貴史が主宰するAGAPE storeがお気に入りで、この舞台の演出を手がけるG2の大ファンである妻は満足そう。寒風の中、並んで歩くサザンテラス。季節外れにも思えるイルミネーションがまだ残っている。「あっ!並んでない!」妻が足を止める。確かに時間が遅いこともあり、いつも長蛇の列の「クリスピー・クリーム・ドーナツ」店頭に人影はない。ある年、香港に出かけた際に、日本進出前のクリスピー・クリーム・ドーナツを食べ損なったことを悔やむ妻が決断した。「食べるっ!」晩メシにドーナツ?ビール飲めないし・・・躊躇する私を余所に、すたすたと店に向かう妻。

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リスピーの箱を抱えている人を見かける度に「良いなぁ」と零していた妻。しかし、2人共並ぶのは嫌い。確かに今日はチャンスだ。でも、箱で買わなきゃいけないの?「そんなことはないでしょ」短い列であっという間に順番が来る。確かに1個づつ買える。勝手に思い込んでいた私。これも一種の都市伝説。または私の妄想。「ご試食どうぞぉ♪」揚げたてのオリジナル・グレーズドをいただく。これが噂のサービス。妻が支払う間を待ちきれずにひと口。うん、柔らかく、ほんのり温かくて美味しい♬2階のイートインで何種類かのドーナツを食す。甘〜い。2つめで降参。う〜む、これが並んでまで食べたい味か?箱買いは無理。「一度は食べたかったから、満足、満足♪」と妻。不味くはない。しかし、長い行列に見合う味を期待した私の(これも妄想)気持との落差は大きい。妄想と現実のギャップ。「これで香港まで行って食べなくても良くなったから、安上がりだね!」妻の人生は今日もお気楽だ。

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2009年1月31日 (土)

Bunkamuraの20年「パイパー」野田地図

Photo卒で入社したのは、「不思議、大好き。」とか、「おいしい生活。」とか、「じぶん、新発見。」などの糸井重里のキャッチコピーでお馴染みだった百貨店。今やコンビニの売上に負けてしまったけれど、当時の百貨店はまだまだ元気だった。男女雇用機会均等法が施行される前、女子大生の就職先として人気のその百貨店も実に元気だった。“総合生活産業”を標榜し、単なる流通グループではなく、文化を売る企業グループだと、今は作家生活を送っている当時のT会長は言っていた。グループ内に美術館、劇場、映画館、カルチャーセンターなどの“文化施設”を抱え、文化事業部というセクションもあった。とは言え、実態は流通。流通志望で入社した訳でははなかった私が在籍したのは数年程度だった。そしてそのグループは陽炎のように消えようとしている。

職したのは情報誌を発行しているベンチャー企業。私がアテネフランセに通っていた頃、教室の窓から小さな看板が見えた。その会社がいつの間にか大きくなり、新たに始めたのが日本初のコンピュータ・チケッティング。私が在籍した百貨店と一緒に事業をスタートするはずだったのに、直前に裏切られ・・・という話を聞いたのは入社してからだった。数年後、その百貨店とライバル関係にあった東急百貨店が本拠地渋谷に大プロジェクトをスタートさせた。複数の劇場、映画館、美術館などの複合文化施設を本店の隣に創るというものだった。当時はまだ珍しかった“オフィシャル・サプライヤー”というサポート企業を集め、運営するというスタイル。地下からの吹き抜けを、アート系の書籍を多く集めるブックショップ、「カフェ・ドゥ・マゴ」、シアターコクーン、オーチャードホールなどが取り囲む実に良い空間が完成した。“文化”は、ビジネスにはなり難い。しかし、東急は明確なコンセプトの基、その“村”を20年運営して来た。決して経営は楽ではなかった(と勤務する友人にも聞いている)とは思うが、その功績に拍手を贈りたい。

Photo_2 急文化村は、当初からフランチャイズ・システムを採り、オンシアター自由劇場(現在は任期満了)や東京フィルなどがフランチャイズ契約を結んだ。また、劇場ごとに専任プロデューサーを置き、独自の企画・運営を行って来た。そこから中島みゆき「夜会」、「渋谷・コクーン歌舞伎」、「東急ジルベスターコンサート」、蜷川プロデュースの舞台などの名物公演が生まれた。お気楽夫婦が最も足を運んだ劇場でもある。そして、野田秀樹が主催する「NODA MAP」も第1回公演からずっとシアターコクーンを中心に芝居を行ってきた。人気であるが故に全公演のチケットはゲットできなかったのが残念だけれど、「キル」「ローリング・ストーン」「半神」「パンドラの鐘」「贋作 罪と罰」「カノン」「ロープ」など、多くの舞台を観て来た。ということで、野田地図(NODAMAP)第14回公演「パイパー」を観た。

台は1000年後の火星。これまでは過去の歴史を野田流に紡ぎ直すことが多かった野田芝居。今回も実際に起る未来の歴史を紡ぎ出すような独特の野田の世界は変わらない。パイパーと呼ばれる生命体と、火星に降り立った最初の移民たちの群舞が凄い。ぞくぞくモノ。振付のコンドルズ 近藤良平が凄い。鳥肌モノのパイパーダンス。そして、何よりも松たか子と宮沢りえが凄い。圧巻は、永遠に続くのではと思う程の2人の掛け合い台詞セッション。廃墟となった火星を彷徨う2人が目にしたものを、短く、鋭く、時に長台詞で語るシーン。2人の台詞で、そこにどろどろの海が現れ、傷ついた人が現れ、熱い風が現れ、赤土の大地が現れる。2人の才能の組合せはどんな芝居になるのだろうと思ったけれど、期待以上。舞台の上で世界が熱く燃え溶けるような化学反応が起きた。こんな贅沢な配役で、脚本が書けるのも野田秀樹なればこそ。こんな舞台が観られることに感謝。20年を経ても、まだまだ元気なBunkamura。これからも頑張って♪

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2008年7月26日 (土)

3人の女形と3人の女『ウドンゲ』・『更年期 SHOW GIRL』

Photo人の男性の演じる3人の中年女性の話、3人の女性が演じる3人の更年期の女性の話、そんな芝居を相次いで観た。「女」に拘る3人の男たちの名前は、篠井英介深沢敦、大谷亮介。篠井と深沢は、加納幸和らと『花組芝居』でNEO歌舞伎の女形を演じていた、いわば女形のベテラン。特に篠井は、花組の看板女優(?)だった。大谷亮介は、小説家でも知られる(笑)原田宗典が座付作家だった東京壱組の俳優。(決して女装は似合わない)一癖ある3人のオヤジたちが女性を演じ続ける『3軒茶屋婦人会』というユニットで、第3回目公演を迎えた。どこかの芸人が喜びそうな3づくしの芝居のタイトルは『ウドンゲ』。

Photo_2チラシには、女になる前の3人の写真。本チラシと比較すると、そのなりきり振りが良く分かる。いるのだ、こんなオバちゃんが。実在するのだ、確実に。特に深沢敦演じるオバちゃんは、誰の隣にも確実に、いる。断言しても良い。見た目が都子ちゃん(土曜朝の『旅サラダ』でお馴染み)に似ているとかいう問題ではなく、その性格、仕草、話し方から思考回路まで、疑いようもなく存在するオバちゃんそのもの。屈折した学生時代から現在の暮らしぶりまでが、くっきりと浮き出るオバちゃん。そのオバちゃんぶりに、笑わせてもらった。そして、イライラさせてもらった。加えて、篠井英介は、凄い。女だ。オバちゃんでもあるけれど、齢はとったけれど、「女」であり続ける。怖いぐらい女だった。良い芝居だった。

Photo_3ころで芝居の会場はベニサン・ピット。公演毎に全く違う顔を魅せる良い小屋だ。(劇場の案内には、都営新宿線森下駅から徒歩3分とあるけれど、脚力に自信のある方ならその時間での到着は達成可能かもしれないが、一般人には到底無理。お気をつけください!)17年前、この会場で、当時人気だった岡本健一(元 男闘呼組)と村井国夫が演じる『蜘蛛女のキス』1公演を自社会員向けに買い切って、ヴーヴ・クリコに協賛してもらい、終演後にシャンパン片手に出演者によるトーク・ショー♪などという地味派手なイベントを(前職の会社で)担当した。私にとっては、そんな思い出の劇場。他にも2公演買い切って、その公演毎に(若き日の)私が入場者に向けてご挨拶したのだった。つくづくバブリーな時代だった・・・。

Showして、3人の女性が更年期女性を演じた『更年期 SHOW GIRL』は、牧野エミ、楠見薫、中道裕子という小劇場ファンなら落涙する3人の女性ユニット「タニマチ金魚」の第1回公演。こなれていない初日だったため、苦笑する場面もあったものの、そこはご愛嬌。更年期にはちょっと早いように思える3人がドタバタを繰り返す、いかにも後藤ひろひと脚本、福田転球が演出した舞台だなぁ、という分かる人には分かる芝居。幕が降り、何度目かのカーテンコールで牧野エミが涙を流した。うんうん、応援してるから、その気持を忘れず今後も頑張れ!でも、見続けたいと思わせる芝居をやってくれなきゃ、すぐ見捨てるから、それも忘れないように。エラソーに言っているが、小劇場の空気は妻も私も大好き。芝居好きの役者たちが、観客たちが、作る独特の空気。時間とお金が許す限り、できるだけ多くの芝居を観に行くことが、役者たちへの応援だと思っている。「さぁて、次は何の公演に行こうか?」妻が劇場で配られたチラシを見定める。その目は、優しく厳しい。

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2008年6月 7日 (土)

若鮎、茗荷、天茶、パルコォ!「天一」の天ぷら

P1000097初夏の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか。今年は雨が多いですよねぇ。・・・ところで、初夏、と言えば鮎の季節だ。盛夏に食べる鮎の塩焼きもたまらなく旨いが、天ぷらの若鮎も季節に一度は食べたいお気楽夫婦の大好物。そうそう、鮎が大きく育ってしまう前に、「天一」に食べに行かなければ!そんな2人を挑発するように、新聞に天一の広告が掲載された。「若鮎 茗荷 天一」相変わらず簡潔なコピー。2人は、この季節ごとの天一の広告にめっぽう弱い。これは「行き給え」という天啓に違いない。それではと、渋谷で芝居を観る日に東急本店の天一に向かう計画を立てる。開演は7時。天ぷらを食べるには、芝居を観終わってからでは遅い。かと言って芝居を観る前に食べるには時間がない。う~む。

Photo_5「分かった。その日は仕事を速攻で終えて、すぐに会社を出るよ!」ずっと忙しかった妻の仕事もようやく一段落。久しぶりに余裕ができたらしい。私もその日は渋谷の近くで仕事が終わる。よしっ!芝居を観る前に天ぷらだぁ♪「嬉しいねぇ。何だか退廃的な感じ?ん?背徳的か?」当日、店に向かいながら妻が嬉しそうに囁く。ちょっと日本語の使い方が違うような気がするけれど、気持は分かる。けれど、まだ陽が傾く前に店に入ったのに、カウンタ席には既に大勢の客が!初老のカップルや奥さまたちが既に揚げたての天ぷらを楽しんでいる。恐るべし、団塊パワー。金も時間もたっぷりある。そんな皆さまの隙間に2人分だけ残っていたカウンタ席に座り、ビールをぐびり。うっすらと感じる罪の意識で、一段とビールが旨い。

Photo_7「さすがに今日はお好みで揚げてもらう時間はないねぇ」う~んと、迷いつつコースをオーダー。「お食事の後、どちらかにお出かけですか」2人の会話を聞きつけたらしく、板さんが尋ねてくれる。「7時からお芝居なんです。それも文化村じゃなく、パルコ劇場で」「それでは15分前ぐらいまでにお食事が終わるようにいたしましょう」はい、お任せします。ところで、鮎と茗荷を食べに来たんですけど、コースに入ってますか。「はい、若鮎と茗荷、それ以外にはキス、サイマキ海老など、最後に天茶かかき揚げ丼をお出しします」ふぅむ。なかなかお得な内容。初めに海老の脚。かりかり旨い。ビールお代わりください♪キスを頬張り、待望の若鮎と茗荷を齧る。旨いっ!初夏の味がふぅわりと口の中に拡がる。春の山菜も美味しいけれど、夏も旨いねぇ。

Photo_4「〆の天茶とかき揚げ丼はどちらになさいますか」あ、ひとつづつください。どちらも、さくさくのかき揚げが旨い。ごちそうさまでした。「ふぅ、お腹一杯。これから芝居を観るって感じじゃないねぇ」とは言え後藤ひろひと作・演出『恐竜と隣人のポルカ』も楽しみにしていた芝居。観終えても何も残さない、ただ笑ってもらえば良い、というのが後藤のコンセプト。満腹でも大丈夫。消化しやすい。キャストも寺脇康文、水野真紀、石野真子と“芸能人”を集めたお気楽芝居。さらっと軽く笑える。中でもアイドル時代を彷彿させる石野真子が良い。後藤自身が真子ちゃん好きで書いただけの脚本か?と思えるノリ。極めてTV的な、お笑いのような脚本。え!お笑い?3の倍数でお腹一杯になった?1(若鮎)、2(茗荷)、3(天茶ぁ)、おもろぉ!じゃなくて、パルコォって感じ?「え?」妻、氷結。

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2008年5月 3日 (土)

さすがだね!劇団四季『ウィキッド』

Photo節労働者である妻の仕事が佳境。毎年春先に忙しい業務が2ヶ月ほどズレ込み、GW前後にピークが来てしまうという最悪の状況。そんな理由で、今年の連休は遠出をせずに引き籠り、自身の<HP>立ち上げの準備をしようと覚悟を決めた。(これがなかなか大変。皆さま、しばらくお待ちください)でも、何のイベントもないのも淋しいから芝居でも観に行こうか。「うん、良いね。この日だったら大丈夫だと思うよ!」と、ミュージカルのチケットを連休直前に購入。そして、まさしくその公演日に(それを知った誰かから意地悪をされたかのように)妻が休日出勤せざるを得ない状況に陥った。マィガァッ!慌てて友人の女性たちに連絡を取る。(なんたって四季のミュージカル、男性2人で観に行く訳にもいかない)

め~ん、先約があって」「あぁん、残念。もっと早く誘ってくれたら良かったのにって、それは無理よねぇ」「ダメだけど、今度はピンチヒッターじゃなくスタメンで誘ってね!」「今回はダメなんです。ごめんなさい」・・・年々お誘いできる女性たちが減ってきている。最近は妻としか芝居を観に行くこともないしなぁ。(あったり前でしょ!と妻)仕方ない、独りで観に行こうかと諦めかける。そんな窮地を救ってくれたのが前職の会社の後輩。「あ、良いですよ。暇です、暇です。楽しみにしてまぁす♪」おいおいっ!公演名ぐらい聞いてから返事しなさい。でも助かったよぉ。謝謝。という訳で出掛けたのが、汐留でロングラン公演中の『ウィキッド』。久しぶりの劇団四季のミュージカル。

Photo_2職で劇団四季との関りは深かった。ミュージカル『CAT'S』の地方ロングラン公演が決定される度に長期出張に出掛けた。名古屋では販売ネットワークの構築に関り数ヶ月、博多と札幌はコールセンターの立ち上げでそれぞれ数週間。新しい“文化”を劇団四季と共に新しい街に持ち込み、立ち上げる、濃厚で楽しい仕事だった。(もちろん美味しい店もたっぷり開拓した)「へぇ、そうだったんですかぁ」そうか、後輩の彼女はまだ入社していない頃の話。でも、プライベートでも四季の公演は結構観てるんだよ。『コーラスライン』『オペラ座の怪人』『ライオンキング』『マンマ・ミーア!』『美女と野獣』『エビータ』『李香蘭』『ユタと不思議な仲間たち』『ジーザスクライスト=スーパースター』などなど・・・「すっごいですねぇ」そう、実は(こっそりと)劇団四季好きなのよ。

場は「四季劇場 海」。次々に立ち上げた専用劇場のひとつ。席に付くと、ステージの上、2階席の目の前には巨大なドラゴン。金かかってんなぁ。ストーリーは(まだ観ていない妻と再度観に行くために)ネタバレしない程度に紹介すると、誰もが知っている「オズの魔法使い」のサイドストーリー。ジュディ・ガーランド(ライザ・ミネリのお母さん:後輩はどっちも知りません!と言っていたけど)が主人公:ドロシーだったミュージカル映画の印象が変わる。弱虫ライオンが、案山子が、ブリキ男が、そんなエピソードを持っていたなんて。肌の色、動物たちに象徴させた、弱者への差別に対するメッセージが痛い。でも、ラストが心地良い。「良かったですねぇ。面白かったです。また友だち誘って観に来ようかな♪」うん、さすがだね、劇団四季。舞台としても面白いし、きちんと商業的にも成功するようにいろんな仕掛けが作ってあるね。これだったら客を呼べるよなぁ。よしっ、元気が出たし、飲みに行くかっ!「はい。私、お酒飲めませんけど」ま、良いか。

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2007年12月24日 (月)

セイレーンの誘惑!NODA MAP「キル」

Photo_22007年もあと数日で終わる。今年観た芝居の本数はわずか14本。1ヵ月に1本強。それもなかなか“当たり”がなかった年だったと嘆くお気楽夫婦。こうしてブログの記事で観終えた芝居をあまり紹介しなかったことでも分かる。ん?そう言えば昨年の今頃も同じようなことを嘆き、同じような記事を書いてはいなかったか?あ、やっぱり。行きたい公演は何本かあったがチケットが手に入らなかったという事情も昨年と同様。観劇公演数も減っている。う~む。

Photo_9振り返れば今年の初芝居はNODA MAPの「ロープ」、最後の芝居がやはりNODA MAP「キル」だった。「キル」は再々演。1994年の初演は、記念すべきNODA MAPの第1回公演であり、妻と初めて一緒に観た舞台でもある。劇団夢の遊眠社の頃から、現実の延長線上ではない物語が紡がれ、夢の中にいるような不思議で心地良い時間が過ごせる舞台がずっと好きだった。なのに、芝居の内容はすっかり忘れており、おかげで新鮮な気持で観劇できた。(隣に座る妻の存在に緊張していたのかもしれない)改めて“天才”野田秀樹を堪能し感激できた。若年性アルツハイマーではないかと疑う自分自身に言い訳している気もするが。

野田秀樹の芝居はネタバレしても楽しめると信じて堂々と記載するが、彼のことば遊びは単なるダジャレではなく、美しく韻をふみ、ことばの持つ力を感じさせる、いつもながら鳥肌が立つような完成度の高い脚本だ。キル、着る、切る、KILL。羊の国の西にある西羊(洋)・・・。意味を持って演じられて、その瞬間の確信が裏切られるように意味を失うことばたち。意味を捉え考えようとするのではなく感じる芝居。初演のテムジン、主演の堤真一も良かったけれど(覚えていないくせに!)初舞台とは思えない妻夫木聡が良い。勝村政信と山田まりやも美味しい部分をさらって持っていってしまう。

それでもやはり、特筆すべきは俳優としての野田秀樹の存在感だ。あの遠く聞こえる汽笛のような声で舞台に現れると、すっかりそこはNODAワールド。彼のいる場所を目で追ってしまう。彼のセリフに引き込まれてしまう。あぁ、そうか、きっと野田秀樹はギリシア神話のセイレーンのような存在なんだなぁ~~。(NODA風に読める人は読んでください)その声に魅せられ、舞台に足を運ばされてしまい、惑わされてしまうんだなぁ~~。

やっぱり(当たれば)ライブのエンタテインメントは震えるぐらいにすばらしい。よぉっし!来年はもっと芝居に行くよ!コンサートにも久しぶりに行こうぜ!と気になっていた公演のチケットを立て続けに購入。ロックミュージカル「ヘドウィグ&アングリーインチ」、東山紀之主演「覇王別姫」、「ポリス」東京ドーム公演など、あっという間に来年のチケットが5公演分も手元に届いた。「あと2つ、行きたいと思っている公演あるんだよねぇ、これも行こうか♪」おぉ、ここにもセイレーンがいた。妻の目がきらりと輝いた。

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2007年8月11日 (土)

ある夏の一日「エイサー!コング&カフェ・ハイチ」

P1040816「引退したら、沖縄か、博多か、ボストンに住みたい!」他人が聞くと全く共通項のない街の名前をあげるお気楽妻。そんな彼女が毎年楽しみにしている夏のイベントがある。<新宿エイサーまつり>。真夏の東京の真ん中に“沖縄”が数日間だけ現れる。“エイサー”の締太鼓やバーランクの音と共に。ある夏の休日、友人夫妻と一緒に芝居を観るために新宿に出かけた。そして早めに家を出て向かった先が沖縄。友人夫妻は初めて観るエイサーと、普段なら冷静な妻の珍しくワクワクした姿を、なんだか戸惑いながらもニコニコ眺めている。

「あの小さな太鼓やってみたぁい」友人(妻)が呟くと、お気楽妻もすかさず同意する。「バーランクって言うんだけど、良いよね。私も習ってみたいんだ」並んで踊る若者たちが、一斉に左手に持ったバーランクを右手で叩く。その瞬間に左手首を返す。ぱらんという音が新宿通りに響き渡る。「夏が来たって感じだよねぇ♪」そうそう。暑い夏にはビールでしょ。芝居まではまだ時間がある。お酒が飲めない3人を連れイングリッシュパブ<HUB>へ。独りビールをぐびぐび。妻は頼んだ<なんとかティ>に首を傾げる。「ん、お酒入ってるかな」スタッフに尋ねると、アルコール度は低いけれど紅茶のリキュールベースのカクテル。確かに妻の頬がほの赤い。ふっふっふっ。開放された夏って感じだねぇ。

Photoお芝居は、リリパットアーミーⅡの久しぶりの東京公演「夜の姉妹」。怪優<コング桑田>もミュージカルから古巣に戻ってきた。会場に入るとお目当てのコングさんが既に物販コーナーで活躍中。相変わらず存在感のある衣装とキャラ。巨大な頭と髭と太いおさげのバランスが妙にチャーミング。やっぱり良いなぁ。コングさん。お気楽妻と友人(妻)をそそのかし、記念写真をお願いすると快諾。「まぁ、お久しぶりねぇ。P社の方々ね」響き渡るゴスペル歌手でもあるコングさんの声。おっ!覚えていてくれた。感激。妻も友人も満面の笑み。開演前のスリーショットで満足の妻たち。コングさんと並ぶと見た目は暑苦しい夏。

P1040821芝居の後は、「カフェ・ハイチ」へ。「何ここ、知ってる店なの?入ったことあるの?美味しいのぉ?」不審げな友人(妻)がたたみ掛ける。確かに怪しい店構え。最初は勇気が必要だった。けれどドライカレーも美味しかったし、混雑していた記憶があった。そう伝えると「ふぅん、じゃぁ入ってみよう!」その日も店内は大勢の常連らしき客で賑っている。「へぇ~」ことば少ない友人(夫)もレトロで国籍不明の店内の様子に興味津々。国籍不明と言っても「ハイチ」と堂々と言っている訳で、ハイチの知識がないだけの4人。最初はおどおどしていた友人夫妻も「入ってみると妙に落ち着くねぇ」すっかり和む4人。まったりと話し込む。「ところでハイチってどこ?」それにしても、いろんなことがあった夏の一日。そして、なんとなくまとまりのない記事。「暑いからしょうがないね」はい。ありがとうございます。

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2007年6月16日 (土)

シリアスは苦手?「モスクワからの退却」

Photo_180シモキタの街にはいろんな記憶が詰まっている。本多劇場、スズナリなどを会場とする小劇団芝居の好きなお気楽夫婦が、最も多く観劇に訪れる街。最近は渋谷など他の街で芝居を観た後もシモキタで食事をして帰ることが多い。芝居小屋でもらったチラシの束を、飲みながらチェックするのに向いている街。新宿3丁目と並んで、飲み屋のトイレに芝居のチラシやポスターが貼ってある率が高い街。とすると“最も多く飲み歩いた街”かもしれない。シモキタの街には、そんな公演の、芝居を観た後の、いろんな記憶が詰まっている。

カトケンの新作が続いた。会場はいつもの本多劇場。加藤健一事務所vol.66『モスクワからの退却』。久野綾希子、山本芳樹との3人芝居。妻が苦手とするシリアスなドラマ。彼女はカトケンの芝居だったらニール・サイモンを代表とするコメディが好き。せっかく“楽しもう”と芝居を観に行くのだから、考えさせられたり、意味を探ったりするよりも、単純に“楽しい”エンタテインメントが良いという理論。確かにこの日の舞台では、笑う場面よりも、心にチクリと棘が刺さったり、古傷に障るセリフがあったり。劇団四季の舞台では『キャッツ』のグリザベラや『エビータ』のエビータ役で堂々たる大女優という印象だった久野綾希子が、繊細で過敏で建前を振りかざすカトケンの妻役。ちょっと苦く辛い役。息子役の山本芳樹の明朗さ、爽やかさに救われる。

Photo_182永遠に二人の思いが重なり続いていくと思っていた夫婦の、別れに向かって離れていく過程を丹念に描かれると、確かにちょっと重い。こんな気分の時には“旨いもの”を食べるに限る。二人が向かったのはお馴染みのヴェトナム料理屋<コム・フォー>。バーを併設したこぢゃれたエスニックの店。腹ペコの二人はさっそくお約束の<ゴイ・クーン(生春巻>、<青パパイヤのサラダ>、<バイン・セオ(ヴェトナム風お好み焼き>などをパクつく。小食の二人の大好物<フォー>まで胃を空けておく必要があり、オーダーは抑え気味。一見オムライス風のバイン・セオは野菜たっぷりのヘルシー・メニュー。黄色は卵ではなく、ターメリックの色。ミントなどの香菜を添えて、ヌクマムに付けてカリカリの皮と具の野菜や肉と一緒にかぷり。ぅ旨い。ライトなビールに良く合う。南の国の味。

Photo_183そして待ってました♪<フォー>が登場。その日選んだのは坦々麺風の<ゴマのフォー>。フォーは米の粉を平たい麺にしたライス・ヌードル。あっさりとしたスープが香菜、ライム、バジルなどと絶妙に交じり合う。旨いっ!香りの強い野菜が大好きなお気楽夫婦にとっては“幸せの味”。香菜の代表格“パクチー”などは追加でお願いするほど。「そろそろヴェトナムも行き時かなぁ」妻が呟く。そう、友人夫妻が住むNYCに、日程の関係で行けなくなった二人が夏に目指すのは南の島。う~む、候補に挙げても良いかも。

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2007年6月 3日 (日)

エンタメと食事の関係「パッチギ!L&P」「薮原検校」

Photo_172作品には当たり外れがある。それはよーく分かっている。・・・1週間に合計3本の映画と芝居を観た。1本目の映画作品は『パッチギ!LOVE&PEACE』。1作目の『パッチギ!』を観て、沢尻エリカの可憐さにクラクラきてしまったオヤヂは、2作目の中村ゆりに期待してのこのこ出掛けていった。優れた1作目を超えるのは大変ですよね、井筒さん。うんうん、悪くはないですよ。中村ゆりも。藤井隆も。ちょっと出てきただけのビッグネームの方々も。芸能界を敢えてステレオタイプに描き、ちょっと笑ってしまったけれど。

けれど、1作目の悲しいぐらい可笑しい徹底したやりきれなさと明るさが好きだった。本物の恋愛が、軽々と国籍や差別や周囲の目を超えてしまう爽快感。松山康介(塩谷瞬)の初々しさと、キョンジャ(沢尻エリカ)の芯の強さと同居する可憐さにまいってしまった。(他の作品での彼女の変貌を見ていると、騙されてしまった!さすが女優だ!・・・と思う。あの可憐なキョンジャはいったいどこへ?)「イムジン河」が象徴したメッセージが浸みた。大友康平やオダギリ・ジョーの使い方も卑怯なぐらい上手かった。そうか、期待しすぎたのかもしれない。1作目のDVDでも買って見直そう。

Photo_173期待し過ぎたと言えば『薮原検校』も同様。久しぶりにBunkamuraシアターコクーンのチケットが取れた。井上ひさし作、蜷川幸雄演出、宇崎竜童の音楽とくれば、期待しない方がどうかしている。なのに妻は、冒頭の見せ場である古田新太の長セリフで逆にテンションが下がり、こくこく眠り始めた。それどころか、幕間で「帰ろうよぉ、つまんない」とのたまう。な、なんて大胆な。やっと取れたチケット。それも安くはない。「だって時間の方が大事じゃない」う~む。豪胆なやつ。小心者で貧乏性の私は、どきどきしながら劇場を後にする。確かに私も居眠りをしてしまったけど、2幕が一発逆転で面白かったかもしれないじゃない?「あの芝居、私たちに向いてないよ。最近の蜷川作品には厭きてきたね」げ、これまた大胆な発言。業界関係者として問題あり?「だって私、営業じゃないし」

そんな二人が2本目に観た映画。タイトルは書けない。さすがに、感想も評価も書けない。友人たちにチケットを買ってもらった。まだこれから観る予定の友人もいる。面白いと言ってくれた友人もいた。映画に何を求めるかは人によって違う。しかし、だから、もしかしたら、だって、え~いっ、今のうちに謝っておく。ごめんなさい。その日の食事は、東急本店<天一>のカウンタでお好み天ぷら。気持を切換えて楽しまないと。「え~ん、美味しいよぉ。やっとバランス取れた♪」食べ損ねたと思っていた“稚鮎”の天ぷらを齧りながら、妻が微笑んだ。美味しい食事は、優れたエンタメ作品と同様に心と身体に優しい。

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2007年3月31日 (土)

妻と、そして友人夫妻と「おたのしみ」

20ある週末の夕方、シモキタに出かけた。お馴染みの<本多劇場>で<加藤健一事務所>。カトケン(加藤健一)久しぶりの新作「特急二十世紀」。この芝居の観客は決して若くない、というかお年を召した方々が多い。カトケンと共に年齢を重ね、劇場に通っている古くからのファン。今回の公演で、VOL.65。観客も齢を取るはずだ。そう言う私も、1988年の「ザ★シェルター」加藤健一事務所VOL.7の公演から、再演を除いてほぼ全ての公演を観に来ている。20年間で約40本ぐらいは観ている計算。確実に“オールド・ファン”の一員。

一人芝居「審判」を上演するために立ち上げた加藤健一事務所。彼自身、舞台中心に活動しているから、TVには余り出演しない。世の中的には知らない人の方が多いだろう。巨頭だし、滑舌(かつぜつ)は良くないし、TVドラマで主役が張れる風貌ではない。翻訳劇は苦手な人も多いかもしれない。きっと永遠に爆発的な人気は出ない。けれど、この人のハートウォーミングなコメディは、次の公演もまた観たくなる魅力がある。切なくて、可笑しくて、安心して観ていられる貴重な芝居。今回は、舞台から映画に人気が移ろうとしている時代のアメリカの興行界のお話。シカゴ発ニューヨーク行きの特急の車内が舞台。コンパートメントの車両が実際に動き、スピード感ある演出。ネタの“古さ”も、この芝居と観客の中では違和感もなし。・・・こうして一生付き合っていくんだろうなぁ。

Photo_108翌週、立て続けに観た芝居は<ラックシステム>の「おたのしみ」。いつものように友人夫妻と一緒に出かけた会場は<スズナリ>。やはり本多さんの経営する小屋のひとつ。小さな劇場だから、後方の席でも舞台と観客の距離感が近いのに、その日は4人とも最前列。化粧のノリまではっきり分かり、熱演中の俳優の唾が飛ぶ。視線が合ってしまいそうな時は思わず目を逸らしてしまう。果たして良い席なのかどうか。<わかぎゑふ>率いるこの関西人を中心とした芝居も、毎回楽しみにしている。以前はNYC駐在の友人夫妻も含め、6人で出かけていた。次回公演を心待ちにする、やはり貴重な劇団。

「お正月」、「お見合い」、「お○○」と頭に毎回“お”が付く公演タイトル。わかぎゑふの脚本に毎回心が揺り動かされ、その才能に打ちのめされる。小さな小屋で上演してもらえることは嬉しいけれど、もっと多くの人に観てもらいたくもなり、他人には教えずこっそり愉しみたいという気もする。メジャーにはなってほしくはないけど、ずっと公演が続けられるだけの観客動員は保って欲しい。チケットが取れなくなってしまうのは困る。難しいファン心理。妻は、毎回この公演のパンフレットだけは確実に購入。公演が終わった後の出演者によるサイン会にきっちり並ぶ。普段のキャラからは想像できない行動。きっぱりと“ファン”なのだ。「ずっと一緒に観続けられると良いねぇ」妻がぽそりと呟く。中島らもの「永遠も半ばを過ぎて」というエッセイタイトルが好きな二人。“一緒”の相手は、私であり、友人夫妻であり。永遠は、有限であり、だからこそ貴重な時間。これからの“永遠の後半”の時間は、そんな二人の“おたのしみ”でもある。

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2007年2月24日 (土)

ご近所エンタメⅡ「地獄八景:浮世百景」

Photo_86先週の記事を書きながら、ふと気がついた。改めて書くまでもなく、お気楽夫婦のご近所エンタメ度数は高かった。観に行く芝居のほとんどは下北沢。次いで渋谷、新宿、三軒茶屋。二人のお気に入りは小劇場系が多いため、当然の結果。ということで、三茶まで芝居見物に出かけた。土曜の午後、いつも通りに掃除や洗濯などの家事を済ませ、ふぅ~と溜息を付くと、もう開演まで30分余り。やばっ!慌てて身支度を済ませ、電車に飛び乗り、下高井戸から世田谷線に乗り継ぐ。気は急いているのに、のんびり走る電車。環七若林交差点でも信号待ち。開演まで5分。焦る二人。・・・世田谷線に罪はないのだけれど。

終点で電車のドアが開くと、ダッシュする二人。劇場は駅の真上、世田谷パブリックシアター。「地獄八景:浮世八景」G2演出、企画AGAPE Storeという、お気楽夫婦にとっては外せない演目。三階までのエスカレータを駆け上り(良い子の皆さんは真似してはいけません)劇場へ。開演2分前。座席に着くと開演ブザー。ふ~っ、間に合った。京都弁の女性の声で開演前のご注意アナウンスが流れる。最近、前説や場内アナウンスで携帯電話の電源を切るように、などのメッセージが演出の一部になっている芝居が多く、楽しい。ようやく気持が落ち着きはじめた二人。はんなりした京都弁に和む。

Photo_87芝居は、松尾貴史の狂言回しの口上から始まった。開演直後の期待と緊張が漂う劇場空間が、ふわっと緩み、同時にぎゅっと締まる。もう彼の手の上だ。妻は彼がキッチュと名乗っていた頃からの密かなファン。彼が出演(あるいは演出)する芝居は、確かに余り“外れ”がない。升毅、山内圭哉など二人の贔屓で芸達者な役者が揃い、上方落語の物語を下敷きにした物語がテンポ良く進む。“芸能人”が舞台に出ると心配なことが多いが、高橋由美子も悪くない。たまたま彼女が出る芝居を何度か観る機会があったが、安心できる演技。そして何より数役をこなす松尾貴史が良い。肩の力を思い切り抜いて観ることができ、観終わった後に「楽しかったね♪」と妻が言う芝居。

そんな芝居を観終わった後は、暖冬のぽかぽか陽気の中、のんびり散歩気分。太子堂にあるアメリカンダイナー<Baker Bounce>で遅いランチ。駅から遠い住宅街にある小さな店なのに、物凄い人気店。二人が席に付くと3時過ぎにも関らず満席。その後もカップルや家族連れが次々に訪れ、待ちきれずに帰る客も。確かに(料理に時間は掛かるが)美味しい。アメリカンダイナーそのものの内装なのに、アメリカンダイナーでは食べられない美味しさ。六本木の<東京ミッドタウン>にも出店するという。へぇ~っ。店を出て、下北沢まで二人で歩く。昼下がりのビールの軽い酔いを醒ますためにちょうど良い距離。骨董屋や花屋の店先を眺めながら、のんびり。勝手知ったるご近所でエンタメ、飽食、スポーツ三昧。お気楽夫婦の週末の過ごし方。「毎日が週末だったら良いのにねぇ」・・・それは、“週末”とは言わない。

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2006年12月24日 (日)

エンタメ係数ダウン?「2006極私的ベスト・ステージ」

2006年も終わろうとしている。今年もいろんな芝居や映画を観て、飲んだ。芝居を観終わった後の酒は、旨い。そんな中から、極私的に今年のベスト・ステージを選んでみた。

P1010003【1月】『時の男』リリパット・アーミーⅡ『贋作 罪と罰』NODA MAP、『BIGGEST BIZ』AGAPE Store 【2月】『夫婦犯罪』トム・プロジェクト、『有頂天ホテル』 【3月】『エキスポ』加藤健一事務所、『四畳半ブルース』BACK FRONT 【4月】なし 【5月】『かもめ食堂』『プロデューサーズ』 【6月】なし 【7月】『3バカ』転球劇場、『RENT』、『東京原子核クラブ』俳優座劇場プロデュース、『あわれ彼女は娼婦』シアターコクーン・オンレパートリー、『ダ・ヴィンチ・コード』

P1g2_1【8月】『電界』猫のホテル、『寝ずの番』、『ニコラス・マクファーソン』PIPER 【9月】なし 【10月】『ジェイル・ブレーカーズ』G2、『The Worst of・・・』王立劇場、『ゴルフなんて大嫌い!!』パルコ劇場 【11月】『そこそこ黒の男』表現・さわやか、『ズビズビ。』劇団M.O.P. 【12月】『みんな昔はリーだった』パルコ・プロデュース

・・・少ない。芝居が18本、映画が6本。だいたい、全く劇場に行っていない月が3ヶ月もあるなんざぁ!う~む、これは問題だ。

前にブログの記事でも書いたが、行きたいと思った公演のチケットが取れなかったのが一番の原因。それに加え、「加藤健一事務所」「ラックシステム」など、二人に定番の劇団の新作が少なく、それらをカバーする新しい劇団を探しきれなかった。

そこで、今年のベスト。うぅ~ん、『BIGGEST BIZ』AGAPE Storeかなぁ・・・。『BIG BIZ』『BIGGER BIZ』と続いたシリーズ最終作。登場人物のキャラが、それぞれくっきり立っていて、お互いに実に巧く絡み合う。前作を観ていなくても勿論思いっきり笑えるのだが、やはり最初から観たい。あぁ、第一作を出張で観られなかった自分の過去を呪いたい。観たかったぁ・・・。そして、最終作ということは、トラブルメーカーの健三(松尾貴史)にイライラしつつも憎めない動きも、皿袋(松永玲子)の変身振りがもう観られないのが、実に淋しい。それにしても、このシリーズを含め、<G2>、<後藤ひろひと>の絡む芝居を観ることが多い近頃。今年最後のステージも後藤の舞台。出番は僅か、セリフもほとんどない。でも、ずるいでしょう、そんな持っていっては。そのキャラは反則!という内容。

・・・で、1年間を総括。最後までG2と後藤に救われ続け、蜷川さんの(例えば『あわれ彼女は娼婦』)演出に飽きてきたのは事実だけど、決してエンタメ係数が下がった訳じゃないと断言して、締めということで。

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2006年11月12日 (日)

愛しのG2「ジェイル・ブレーカーズ」

P1g2関西で活躍し東京に進出。今や演劇界を席捲している演出家がいる。その名を<G2>という。名前からして不思議な、正体も不明な、(最近は顔も出しているが)謎の演出家。彼の芝居にお気楽夫婦はハマっている。「天才脚本家」という芝居を初めて観たのが2001年。リリパット・アーミーつながりで、コング桑田、野田晋一らが出演する芝居と言うことで出かけた<スペース・ゼロ>。ハマった。腹筋善之介と山内圭哉の鬼気迫る演技に、その演出に。それ以降、G2プロデュースの芝居は欠かさず観ている。

G2は、升毅と共に活動した<MOTHER>を経て、G2プロデュースというユニットを主催。パルコ劇場との共同作品、松尾貴志とのユニット<AGAPE store>など、活躍の場は広い。観た芝居を指折り数えると、MOTHER最終公演「Long Distance」、パルコ劇場作品で水野真紀主演「ダブリンの鐘つきカビ人間」、永作博美主演「人間風車」、AGAPE storeの「地獄八景亡者戯」、「BIG BIZ」、「BIGGER BIZ」、「BIGGEST BIZ」、「しかたがない穴」、「仮装敵国」、G2プロデュース「ゴーストライター」、「止まれない12人」、「キャンディーズ」、作わかぎえふ「一郎ちゃんがいく」・・・改めて数えると凄い数だっ!

そして、最新作「ジェイル・ブレーカーズ」。主演松岡昌宏。須藤理彩、河原雅彦、コング桑田など芸達者が脇を固める。久しぶりに訪れた会場、東京グローブ座は不思議な雰囲気。なぜ?あ、そうかぁ。この劇場はジャニーズ事務所が買ったんだった。ジャニーズ系ファンの独特な空気。あの何とも言えないファッション・センス。微妙にお歳も召している女性が圧倒的で、男性の観客が極端に少ない。ふぅむ、面白い。コング桑田が抑えた演技。ひゃあ、大人じゃん。河原雅彦は相変わらず美味しいとこ持ってくねぇ。ほほぉ、音楽も松岡くんかぁ。かっこ良いねぇ。G2の演出も絶妙だねぇ。

しっかし、この芝居を観ている客の中で、コング桑田だの、三上市郎だのマニアックな役者を観にきている人は少数派なんだろうなぁ。シモキタで観る芝居との微妙な距離感。それに最近ちょっとチケットが取りにくい。人気が出るのも考えものだ。「アイドル使って芝居されるとチケットが取り難くって、困んだよねっ(怒)」と妻。そうだねぇ、松岡くんは悪くないけど、彼を観に来てる訳ではないもんなぁ。でも、この芝居でコング桑田が人気出るかも。「ないねっ!」あ、そう。

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2006年7月16日 (日)

芝居の前に、芝居の後も「ドゥ マゴ パリ」

060706_1Bunkamuraのチケットが取れない。NODA MAP、蜷川演出作品など、人気公演が多く、観たいと思う芝居のチケットがなかなか手に入らない。まぁ、仕方ない。チケットが売れるのは良いことだねと、達観する日々。芝居に行く回数が最近減ったのも、これが原因。しかし、Bunkamuraに勤める友人にお願いする訳にも行かない。ところが久しぶりにチケットがGETできた。楽しみ。週末の朝、いつもよりも早めに家事を片付け、渋谷へ向かった。芝居の方はと言えば・・・。

Bunkamuraを訪れる際の楽しみはもう一つ。レストラン「Les Deux Magots PARIS(ドゥ マゴ パリ)」。吹き抜けのテラス席、テラスを眺める店内もパリの雰囲気そのまま。カリカリのバゲットにハムを挟んだだけの、<サンドウィッシュ・オウ・ジャンボン>も。夏の暑い日、冷えたビールを飲みながら、明るいテラス席を眺め、バゲットを齧る。これが、実に旨い。調子に乗って、スパークリング・ワインをグラスでいただく。芝居の前は、これぐらいでセーブ。(数年前からドゥ マゴの1階を<ワインサロン ドゥ マゴ パリ>として夕方から営業。これがまた、ワインに合った料理も用意してあり、芝居の帰りに嬉しい店)

Dscミレニアム・イヤーを迎えようという年末。お気楽夫婦は、寒いパリでクリスマスを過ごした。一度は泊まってみたかった<リッツ・パリ>は、2泊でチェックアウト。3日目からはセーヌ左岸の<ルテーシア>に宿を移し、サンジェルマン・デ・プレ界隈をぶらついた。朝食は決まって近くのカフェ。バゲットやクロワッサンを食べ歩いた。その中に<Les Deux Magots>もあった。店の名前は“二つの中国人形”。パリの店内には、その人形が飾ってある。店のロゴも“マゴ”入り。ランボー、ピカソ、ヘミングウェーなどに愛された老舗カフェの象徴。パリも渋谷の店も、ちょっと不思議なオリエンタルな空気が心地良い。

ある日、妻とマゴで待ち合わせ。バゲットとビールで楽しんでいると、入口で偶然会ったというBunkamuraに勤めている友人が、妻と一緒にマゴに現れた。「いやぁ~、忙しくて今日はお昼も食べていないんですよ」あ、じゃあ、これどう?妻のオーダーしたクロックマダムをおすそ分け。「明日からパレルモに出張なんです」相変わらずの強行日程らしい。美味しいシチリア料理を食べる余裕はあるのか?「帰ってきたら、上海のYさんと一緒に食事でもしましょう」Yさんは、お互い別々に知り合った友人。まだ同じ席で会ったことがない不思議な関係。久しぶりに、そして一緒に会えるのは、とても楽しみ。

ところで、芝居は・・・。

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2006年3月11日 (土)

懐かしの昭和『エキスポ』加藤健一事務所

P1010258ここ数年、“昭和”という時代が取り上げられることが多い。昨年ロングラン上映された『ALWAYS 三丁目の夕日』は、第29回日本アカデミー賞の12部門を獲得した。お気楽夫婦も、東京タワーが建設中の、あの印象的なシーンを観たくて映画館に足を運んだ。映画を観た帰りに新宿三丁目の<どん底>の“昭和”を髣髴させる店内で余韻を楽しみ、互いの子供の頃の話をひとくさり。メニューに残る“ナポリタン”や“レーズンバター”に目を潤ませ、名物のミックスピザを食べながら。(ちなみに、東京タワーは私と同い年。江國香織やリリー・フランキーが相次いで同名の小説を書いたのは不思議)

 

昨年は愛知万博の年。しかし、ある年齢以上の方にとって“万博”と言えば、大阪万博。EXPO'70。(前年、アポロ11号が月面に着陸した。ポルノ・グラフィティが歌う「アポロ」で知っている若い子も多いだろうけど。しっかし、♪僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう♪だもんなぁ・・・)そして、大阪万博と言えば、三波春夫が歌う「世界の国からこんにちは」。これが(公式ソングではないけど)EXPO'70を象徴する曲。実に脳天気。70年代という時代を、当時の日本を表現しているメロディと歌詞。

そんな脳天気な曲がBGMというか、物語の背景として使われた芝居、『エキスポ』を観た。加藤健一事務所VOL.62公演。彼の芝居は、安心して観ていられる。いろんな意味で。ストーリーに破綻がなく、ハートウォーミングで、悲しい物語でも救いがあり、笑いがある。1988年のVOL.7公演『ザ・シェルター』からずっと観続けている。公演を重ねる度に、加藤健一も、私も、観客も年齢を重ねてきたのは当然だが、芝居自体はいつも新鮮。1970年の宮崎県の田舎町を舞台にした今回の脚本も、加藤忍、新井康弘、富本牧子らのバラエティに富んだキャストが実にいい。ただ懐かしいだけじゃなく、あの頃は良かったではなく、当時も今も変わらない親と子、田舎と都会、男女の関係を描くコメディ。

「“カトケン”を観終わると、良い芝居と出会って良かったなぁって思うし、これからもずっと一緒に年齢とっていくって感じだよなぁ。あ、まるで俺たち二人みたい?」「そうだねぇ。固定した劇団員じゃなくて、プロデュース公演形式だから新鮮なキャスティングできるんだよねぇ。カトケン自身は年齢とっていってもね」あのぉ~聞いてる?かみ合っていないんだけど・・・。ま、“昭和”と一緒に、二人一緒に、ずっとお気楽に行こうか。「あ、先にいなくなったら、別の男探しちゃうからね!」話、ちゃんと聞いてるじゃない!

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2006年2月 4日 (土)

憧憬の舞台、魅惑の時間「贋作 罪と罰」NODA MAP

P1010003流れる“時間”はいつも均一であるはずなのに、瞬時に過ぎ去ったり、澱み留まったり、緩やかに流れたりする。古来からいろいろな“時間論”が存在した。アウグスティヌスは<「時間」は客観的に存在するのではなく、心の中に存在する>と語った。確かに、今この瞬間に存在する世界の全ての生物に、同じ時間は流れているけど、同じ時間は存在しない。こんな思索の瞬間に忘れていた記憶が蘇る。すると、現在と過去とが多層的に自分の頭の中に存在する。その時の時間の概念とは・・・?うぅ、頭が痛い。哲学科卒業のはずなのに。

NODA MAP「贋作 罪と罰」を観た。劇場の中央に設置された四角い舞台。格闘技のリングのように、舞台の周囲に役者だけが行き交う通路があり、彼らだけが座るパイプ椅子が置いてある。幕間で役者たちはバックステージにハケる場合もあり、次のラウンドを待つボクサーのように椅子に座ることもある。幕間の目隠しをする“幕”はなく、上手から下手へ、下手から上手へ、移動する“幕”が場の転換を意味する。その意図に慣れてきた頃には、既にそのリズム感に、そして野田秀樹の術中に嵌っている。

野田秀樹のセリフ回しは相変わらず。お馴染み松たか子や古田新太、私にとって久しぶりの段田安則も、良い味と役回り。脚本の良さも、演出の素晴らしさも、キャスティングの妙も、全てが高品質。悔しいぐらいに良い舞台。いろんな才能に嫉妬する。こんな舞台に接することができたことに感謝する。良い舞台を見終わった後は、心地よい倦怠感がやってくる。こんな時は、自分の身体の中に詰まって吐き出したい思いを少しの間抱えながら、気に入りのバーに向かう。その日は、下北沢のAサインへ。渋谷から抱えてきた思いを妻に語り、旨い酒とほんわりとした酔いに包まれる大事な時間。見終わったばかりの作品を二人で噛み締める。至福の時間がゆったりと流れていく。

1987年、「明るい冒険」で初めて出会った夢の遊眠社、そして野田秀樹。当時、既に人気劇団であり、素晴らしい才能だった。その後も数々の優れた作品を観させてもらった。イギリス留学時代を経て、プロデュース公演で多くの才能とコラボレーションすることで、すっかり“NODA”というブランドというよりはひとつの“ジャンル”になった。ずいぶん遠くまで来たんだなぁ。チケットは取りにくいし。ぶつぶつ。・・・あ、そう言えば野田さん、ご結婚おめでとうございます。(知り合いでも友人でもないですが)

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2006年1月22日 (日)

今年の観劇、1本目「時の男」リリパ、そして3本目

p100「あぁ、もういないんだなぁ・・・」改めて、そう感じる瞬間がある。いなくなった人の、“存在”を感じることがある。若くして亡くなった友人だったり、子供の頃に可愛がってもらったおばあちゃんだったり。“不在”を意識することで“存在”を思い出すのではなく、“存在”を感じ、より“不在”を明確に意識してしまう。なぜ、そこに、彼が、彼女がいないのか・・・。

リリパット・アーミーⅡの「時の男~匂うがごとく今盛りなり」を観た。2年ぶりの東京公演。一緒に出かけた友人夫妻はこの劇団に所属するコング桑田という怪優ファン。しかし彼は「レ・ミゼラブル」に出演中。残念。そして何よりも名誉座長、中島らもがいない舞台。公演が始まる前のショートフィルム上映(劇団とスポンサーのCM付き)もない。少し今までの公演と違う淋しさを感じながら観始めた。でもそんな不安も、すぐに氷解。主役の新人、キリタ役の谷川未佳がさっぱりとした良い味。茜子役の千田訓子との絡みも、ちょっと危ない(客席に向かってゴルフボールを打ち込むな!)朝深大介と野田晋市のコンビも悪くはない。楽しい舞台。劇団創立20周年記念の舞台としてふさわしい出来。

でも、観終わるとやっぱり何かが足りない。脱力感満載の中島らもの存在が、「あ、らもさん、ここで出てくるのかな?」というシーンが。そこでわかぎゑふが「しゃあないなぁ」という顔でなだめる場が。そして劇団名物スポンサーのカネテツデリカフーズの「はもちくわ投げ」が。(知らない人にとっては、何のことやら・・・。)パンフレットにも“故中島らも”と短く触れているだけ。中島の存在を語らず、独自に歩まなければというわかぎの気概なのだろうか・・・。

後日、キッチュ改め松尾貴志が主催するAGAPE STOREの人気公演「BIGGEST BIZ」を観た。その舞台で松尾が中島らもの物真似をするシーンがあった。気だるいモノ言いのアル中のらもさん。そこに、確かに、瞬間的に“中島らも”がいた。舞台でリリパの舞台でも一緒だった松尾が真似た中島らもではなく、彼の愛した中島らも本人が。

「言葉にして行かないと、思い出は風化する。忘れられた人は、それこそ、本当に死んでしまう」・・・山田詠美『PAYDAY!!!』の中で、9.11に亡くなった妻のことを、子供に語る父のセリフ。そうなのだ。思い出すとき、その人は傍にいる。今年3本目の芝居を観終わった後、単なる観客や読者としての自分の思い出だけではなく、ずっと一緒に舞台に立ってきたわかぎゑふや松尾貴志のそれぞれの思いに触れた気がした。

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2005年12月25日 (日)

2005年「観劇リスト」②転機の年を振返る

P1000891上半期から続く・・・と言いながら、転職先の仕事の状況が予想できなかったのでチケットを買い控えたり、行きたかった舞台のチケットがGETできなかったことも多く、後半は余り芝居を観ていないことに気付く。・・・うぅむ。ま、何とかなるだろう。

「覇王別姫」オーチャードホール・・・ブログ記事掲載済。“アジアの美”を再認識した素晴らしい舞台だった。こんな作品とどっぷりと関わることができる友人Kくんが、いつもながら羨ましい。彼がとあるサイトに連載したブログの記事「伝説の少女」も楽しく読ませてもらった。自転車キンクリートSTORE「ブラウニング・バージョン」俳優座劇場・・・これも記事掲載済。KARA COMPLEX「調教師」シアターコクーン・・・これも掲載。あれ?下半期は芝居を観る度に記事を書いてるなぁ。(ますますネタに困る。)

ゴー・ゴー・ハリケーン「ハロルド」青山円形劇場・・・観劇直前に仕事でトラブル発生。珍しく電話を携帯していたばかりに、緊急連絡網に捕まる。しばらく電話でやり取りをした後に、「これから2時間ほど連絡が取れなくなるので、よろしく!」と消息不明を宣言し、劇場に向かう。芝居自体は面白かったが、気持の端っこがムズムズと落ち着かない。劇場を出て、トラブルの収束を確認。その後に友人の誕生日を祝うために食事の約束をしていたこともあり、ようやくムズムズ感が解消され、休日モードに戻る。・・・そこで教訓の一句。「休日のお出かけ電話は不携帯。」(社会人として問題ありだが。)

チームARAGOTO「エビ大王」青山劇場・・・関西のやんちゃな(筧利夫は浜松市出身だけど)若者たちの芝居。単純に楽しめる、という芝居ではなかった。韓国の歴史や、世界観、性や家、家族に対する視点、というか芝居そのものとの距離感。そんなものが掴めず、芝居に入り込めなかった。相変わらず、筧利夫のテンション、むちゃ高いし。

ということで、2005年を振り返った。芝居がどうと言うより、今年は転機の年だった。人生の折り返しをはっきりと意識し、ブログを始め、仕事を変え、お終いまでの準備を開始した。そんな記念すべき年。なのに、「今年はいろいろあったなぁ・・・。」とつぶやく私に、妻は「あれ?そうだっけ?何だっけ?」・・・おい、おい。大人のナツヤスミと称してロンドンやパリに行ったのは、転職したからでしょ。「あ、そうだったねぇ。過ぎたことは、どんどん忘れていくんだよねぇ・・・。」こんな妻と一緒の、お気楽な日々が過ぎていく。

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2005年12月11日 (日)

2005年「観劇/感激リスト」其の壱

p10012月。師走、ボーナス、クリスマス、街が浮き足立つ季節。一年を振り返る季節でもある。 そこで、第一弾として、“今年観た芝居”をリストアップ。今年もいろんな芝居を観たなぁ・・・。劇団四季「コーラスライン」自由劇場 / アガペーストア「BIGGER BIZ」紀伊国屋ホール/「歩兵の本領」紀伊国屋サザンシアター・・・浅田次郎原作。

加藤健一事務所「煙が目にしみる」・・・再演。二度目の観劇。愛すべき、おばあちゃん役のカトケン。桜の樹が印象的な、ハートウォーミングな舞台。彼の上演の基本はプロデュース形式。「シェルター」「セイムタイム・ネクストイヤー」「木の皿」など、暖かく、優しく、ちょっと辛い物語が多い。上演はいつもの本多劇場。小屋も観客も枯れた感じが妙にフィットする。白髪の後姿が目立つ観客席。カトケンが公演を重ねる度に、観客も年齢を重ねているのが分かる。そして、芝居の後には、オリオンビールと泡盛とソーキそば。・・・幸せ気分な下北沢の夜。

自転車キンクリートSTORE「海辺のお話」俳優座劇場/ラック・システム「お願い」ザ・スズナリ/G2プロデュース「キャンディーズ」本多劇場/蜷川演出「メディア」シアターコクーン・・・2005年のベストかなぁ。大竹しのぶ、凄い。/キャラメルボックス「広くてすてきな宇宙じゃないか」「僕のポケットは星でいっぱい」シアターアプル・・・2作連続上演。階上で演っていたのは・・・。/「We Will Rock You」新宿コマ劇場・・・ズッズッチャ、ズッズッチャ、これだった。

「ドナインシテイン博士のひみつ学会」スペース107/アガペーストア「仮想敵国」サンシャイン劇場/加藤健一事務所「ヒーロー」本多劇場/MOP「水平線ホテル」紀伊国屋サザンシアター/「姫が愛したダニ小僧」アートスフィア・・・東京で久しぶりの大地震があった日。ぐらぐらっと揺れたのは、エンディングの頃。最初は演出かと思ったが、非常灯が点灯して「地震だっ!」2階席で観ていた私たちは、落下するかもしれないという、瞬間的な恐怖。・・・最後まで演ってた出演者は偉かった。その後、りんかい線でなんとか大崎まで辿り着き、そこで足止め。4時間。ゲートシティでお茶を飲んで、中華料理を食べて過ごすことになった。違う意味で印象度No.1の舞台となった。

・・・以下、下半期に続く。(コメントOKです。)

 
 
 

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2005年11月13日 (日)

異界への入口「KARA COMPLEX」

P1000712貧乏学生の4畳半のアパートの壁には、芝居のチラシが飾ってあった。「ユニコーン物語」「唐版 犬狼都市」「河童」・・・それらのチラシは、貧乏学生にとってのアートだった。かつて、横尾忠則、金子國義、篠原勝之らが手がけたポスターは憧れだった。“前衛”とか“アングラ”ということばは、消えかかっていた。(次の世代、野田秀樹も既に登場していた。)そのアングラ演劇のお終いの頃を辛うじて観ることができた。今思えば幸せな演劇ファン。

新宿花園神社の境内、高層ビルが乱立し始めた頃の新宿西口、池袋びっくりガード横の空き地。そんな場所に張られた紅テント。そこは日常から異空間への入口だった。芝居が始まる前のテントの上に不破万作と十貫寺梅軒が登り、観客を挑発する。開演を待つ観客たちは、“テントの外=現実”と“テントの中=異空間”の狭間にいるような不思議な気分でテントの前に並んでいる。見世物小屋の前口上を聞いているような、楽しい時間。そう、観客たちはテントの中で騙されるのだ。分かっていながら騙される楽しみ。現実と隔離されたテントの中で起きる“物語”の非現実性を、現実であるかのように楽しむのだ。

唐十郎作品を内藤裕敬演出、椎名桔平、萩原聖人、黒木メイサらの出演による『調教師』を観た。トタン小屋の二階、安酒場で繰り広げられる物語。象徴的で暗喩に満ちた台詞。独特の言い回し。キャストを知った時には大丈夫かなぁと思ったけれど、実に良いのだ。桔名詰平も、萩原聖人も。こんな綺麗な娘は状況にはいなかったなぁと思う黒木メイサも。聞けば椎名は、唐の影響を強く受けた劇団、新宿梁山泊にいたこともあったという。なるほど納得。

そこは紅テントではなく、根津甚八も、小林薫も、李礼仙も、唐十郎さえもいなかった。詰めずに座れる椅子席。舞台装置も立派で、観客の服装も小奇麗 だった。でも、確かに、その舞台には唐十郎の匂いがした。しかし、唐芝居を初めて観た、ストーリー優先の妻が呟いた。「どんな風に観たらいいか分からんかった!私はこれダメだぁ。」・・・予想通り。彼女にとってはアガペーストアを主宰する松尾貴史が二つ隣の席に座ったことが、本日唯一の収穫らしい。仕方ない。次はオバ友達と一緒に観に行くかぁ。

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2005年11月 6日 (日)

がんばれ飯島!どうした鈴木!「自転車キンクリート」

P1000679初めて彼女達の芝居を観たのは、誕生日を出張先の盛岡のオカマバーで迎え、帰ってきた翌日だった。第8回公演『シンドバッド・ハイヌーン』。新宿の、タイニィ・アリスで数回だけの公演。それが第10回公演『ほどける呼吸』では、池袋の文芸坐ル・ピリエで1ヶ月の公演。終演後、出演者全員が文芸坐の前に列を作って観客を見送ってくれた。作・飯島早苗、演出・鈴木裕美の二人も舞台に立っていた。繊細で、せつなくて、楽しく、素晴らしい脚本。私の30年ぐらいの観劇生活の、今でもベストの公演と言っても良い、素晴らしい舞台だった。

次の公演は紀伊国屋ホール!なぜか主役が多い歌川椎子、ちょっと憧れていた柳橋りん、当時からおばちゃん役がはまりの池田貴美子たちがメインキャスト。その後、第三舞台出身の京晋佑、引越しのCMで有名になった徳井優、久松信美などを客演に、自転車キンクリートSTOREとして定期的に公演を行った。ミステリー3作を連続公演、男性キャスト版と女性キャスト版の公演など、実に意欲的で、その度に観る側の(勝手な)期待に応えてくれた。同年代の彼女達が舞台を重ねるに従って、出演者の年代設定も上がっていき、ちょうど自分たちの生活環境の変化と並行してテーマが変わっていった。新しい舞台を観るたびに、一緒に齢を取っていく感覚があったのかもしれない。

・・・素晴らしいと思う。82年に“躍進するお嬢様芸”をキャッチフレーズに本女の学生が劇団を立ち上げ、今までずっと(劇団として)活動しているのだから。そして、飯島、鈴木の二人はTVなどでも活躍しているのだから。・・・でも、最近正直淋しいのだ。ここ2本連続して鈴木裕美の演出による舞台を観て落胆しているのが理由でもある。(『ブラウニング・バージョン』は、観終わって地味な気持になり、派手な食事をしてしまった。)でも、それ以上に等身大の自分達と同世代の物語の、脚本を飯島早苗に書いて欲しい。それを鈴木裕美に演出して欲しい。1年に1回でも、あるいは何年に1回かでも良い。年齢を重ねた古い友人たちが何十年ぶりに集まって、子供や孫を連れて、などという設定で『ソープオペラ』や『トランクス』などの続編を演ってくれないだろうか。

ジョン・ボーナムが死んでも、レッド・ツェッペリンを、フレディ・マーキュリーがいないクィーンを観たいというようなオヤジ(あ、俺か!)の戯言だろうなぁ。

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2005年9月17日 (土)

その東洋的表現「覇王別姫」

p100人との関わりを感じた舞台を観た。舞劇「覇王別姫」。四面楚歌などの故事で有名な、項羽と虞美人、劉邦の物語。・・・陳凱歌監督、張國榮主 演の「さらば、わが愛/覇王別姫」という映画との出会い。この舞台の制作協力 として関わったEさんには、上海出張の際にお世話になった。公演スタッフとして事前に上海に飛んだ古い友人のKくん。彼のブログにも登場するYさんは、Eさんと同一人物。(日中の発音で表記が違うだけ)別 々に知り合った不思議な縁。そんな仲間が関わっているだけに楽しみにしていた舞台。

突然「愛・地球博」に日帰り出張。偶然にも「覇王別姫」EXPOドーム公演最終日。会場のインフォメーションで公演 の整理券が残っていないかどうか尋ねてみた。予想通りチケットはなし。万博内は有料イベントが開催できないため、東京公演で1万円以上のチケットが無料なのだ。 その上、台風が接近し、新大阪までの往復運転となっていた新幹線も気になり、結局会場にいたEさんを訪ねなかった。(東京公演でお会いできた。)

その数日後。東京公演は、静かに感動が訪れる不思議な舞台だった。ひとつひとつのポーズが美しく決まるのだけれど、万雷の拍手で迎えられる派手さは ない。素晴らしい群舞、高度な跳躍に、じわじわと感動はやってくるのだけれど、がつんと殴られるような心の震えはない。なぜなんだろう。公演中、自分 の心の動きがとても不思議だった。音楽も素晴らしかったし、妻が気に入った「馬」役の肉体のキレ、存在感は抜群だった。そして何より、虞美人を踊った朱潔 静の美しさ。繊細な身体の線、指先、リフティングの後のステージに触れるか触れないかの瞬間に“重さ”の概念が消えてしまう柔らかさ。“舞い降りる”とい うことばの意味を知った瞬間だった。なのに・・・。

そうか、今まで私は、余りにも西洋的な感動や演出に慣れていただけなんだ。分かり易いパフォーマンスのエンタテインメントに。この“舞劇”という、台詞のないミュージカル、物語のあるバレエは、その東洋的な表現と音楽とで身体の深いところから沁みてくる美しさに満ちている。だからこそ、西洋人の役を演じる日本人=劇団四季≒TDLという楽しさではなく、中国人が演じる古代中国の英雄の愛の物語として、響いてくるんだ。妙に納得してホールを後にした。・・・それにしても、虞姫の細く長く美しい腕ったら。電車で吊輪をつかんでも、妻のように上腕二頭筋が盛り上がることもないんだろうなぁ。

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2005年7月 9日 (土)

懐かしの状況劇場「根津の甚八」

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初めての“芝居”体験が状況劇場の「ユニコーン物語」だった。 「汚い格好してきてね。」誘ってくれた友人にそう言われ、恐る恐る出かけた紅テント。 渡されたビニール袋に靴を入れて抱え、シートを敷いただけの地べたに座る。 舞台用の化粧を済ませた若手出演者に「はい、あと30cm前に詰めてぇ。」「はい、まだ入りまぁす。」 とか言われながら、ぎちぎちに詰めて座るテントの中は既に異空間。 唐十郎、李麗仙、小林薫、十貫寺梅軒、不破万作、主役は根津甚八。 自分のセリフを噛んで笑ってしまった唐さんのつばが飛ぶ。水が飛ぶ。汗が飛ぶ。 不思議な一体感が狭いテントの中に充満する。

真田十勇士の一人、根津甚八の名前から取った(であろう)彼はまもなく紅テントを去り、 小林薫が彼の代わりに主役を張った。(私は輪郭のはっきりした根津の演技の方が好きだった。) その後も、西新宿、花園神社と彼らの芝居を観続けた。

根津に、彼と(あるいは真田十勇士と)同じ名前の居酒屋がある。 初夏の夕、地元に住む同僚をガイドにその店を訪ねた。 案内がなければ迷ってしまいそうな下町の路地。 赤い提灯と手書きの看板が軒先の鉢植えの緑に埋もれている。 引き戸を入ると土間にカウンタ、その奥に6畳ほどの座敷。 小さな小さな店。冷えたビールに背黒イワシ、サザエの壺煮などをつまむ。 濃密な接客のおやじの説明付きで。

“甚八”というオリジナル焼酎を頼むと、 グラスに並々と注ぐだけでなく、枡にもお代わり用を入れてくれる。 初対面とは思えない親しさで、「初物あるんだけど、食べる?」・・・食べないとは言わせない口ぶり。 出てきたのは厚岸の牡蠣の焼き物。確かに“初物”。 “R”が付かない月は食べてはいけないと教わった・・・。 が、殻の上には大ぶりの牡蠣が魅惑的な姿で横たわる。 明日を考えずにかぶりつく。磯の香りが鼻に抜ける。「旨い!」 おやじがしてやったりの顔をする。 薄暗い照明の下、ちんまりと座った座敷での会話は弾み酒が進む。 状況劇場と根津の甚八、どちらも濃厚な空間だった。

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2005年7月 2日 (土)

コングさんがやって来た「コング桑田」

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その人の名は“コング桑田”。まだまだマイナーな役者でシンガー。 彼が所属する「リリパット・アーミー」の舞台で初めて出会った。 小劇場の舞台とは言え、突然ステージで脈略なく(実はあるのだろうが)歌い始めた。・・・衝撃的だった。 それも女装した役だったのに、きれいな低音のバリトン。・・・これが実に上手いのだ。 フレディ・マーキュリーを関西人にして、お笑い中心の小劇場の舞台に立たせたような人、なのだ。 網タイツ、ボンデージが巨漢で髭の風貌に良く似合う。・・・そんな彼のライブに行って来た。

30人ほど入れば満席の、新宿の小さなライブ・ハウス。 コングさんはもうステージ横で飲んではる。(なぜかインチキ関西弁。) 友人と妻の3人で、入口近くの席で控えめにライブを見守る。 ライブの前のトーク。友人、爆笑の連続。・・・ツボに入った模様。 こうなると箸がころんでも爆笑。目立つ。コングさんとチラッと目が合う。 ライブは「ワンダフル・ワールド」などのスタンダード・ナンバー。 一回目のライブが終わり、コングさんが再度飲みに入る。・・・チャンス。 「彼を誘って一緒に飲もうか?声掛けてくるよ」 「行かなくて良いよぉ」「ダメダメ!」彼女たち二人とも止めには入るが、目は「お願い!」と言っている。 役どころが分かっている私は躊躇わず彼の席に向かう。お誘いすると、快くOK。

結果、初めは照れていた二人もコングさんの関西テーストのオフ・トークに喜びまくり。 すっかり打ち解け、「お話中すいません・・・」と、 スタッフにステージに上がるよう催促される始末。コングさん、良い人。 2回目のステージも「コングさんがやって来る」というオリジナル?ナンバーをはじめ、コング節絶好調。 次回のライブは8月にやりたい、というトークに思わず手帳を開く二人。 あらら、握手までしてるやん。こりゃ、次に会った時には数年来の友人のように、ハグするやろな、あの二人。 ・・・今までステージの向こうにいた、コングさんがごっつぅ近くにやって来た。 「ほな、また飲みましょな」・・・最後までインチキ関西弁の私。次のライブもご一緒します。

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2005年6月11日 (土)

歌舞伎町のミュージカル「We will Rock You」

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ずんずっちゃ、ずんずっちゃ・・・。その音は天井から降ってきた。 新宿歌舞伎町のシアターアプル。とある公演の前説で、苦笑しながら演出家が言った。 「リハ、始まってます。静かなシーンに限って聞こえてくるんですよ。ずんずっちゃ、ずんずっちゃ・・・。 今から言っておきます。力関係ってものがあります。申し訳ないです。」 そんなぁ、いくらなんでも聞こえてくる訳が・・・あった。

高校時代、初めて聴いた「キラー・クイーン」に圧倒された。 フレディ・マーキュリーの音域の広さ、劇的な曲の構成。 「すっげぇ・・・」その思いは「ボヘミアン・ラプソディ」で一層強くなり、 彼らが音楽を担当した「フラッシュ・ゴードン」というB級SF映画も観てしまった。(これが実に面白かった) そして、そのクイーンの楽曲を元にしたミュージカルがロンドンでヒットしていると聞き、 さらには日本公演があると知った。ブライアン・メイとロジャー・テイラーが アバのミュージカル「マンマ・ミーア」にリスペクトされて作ったという・・・これは、絶対に行かねば。

ストーリーは陳腐で単純。展開も冗長。一幕、二幕とも10分づつ短くすれば良かったのに。 ちっ、スラングが分かったら面白いんだろうな。字幕のスクリーンはちょっとどうよ。 ・・・でも、楽しかった。そんな能書きは全てぶっ飛ぶ。 「ボヘミアン・ラプソディ」の前奏が流れた瞬間に涙が出そうになってしまった。 ラストの10分とアンコールのためだけにもう一度観に行っても良いかもしれない。 ミュージカルというより、コンサートのノリ。(客席でもビールが飲めるし。高いけど。) コマ劇場というハコの大きさも気にならない。 スタンディング・オベーションはお付き合いではなく、素直に立ち上がった。

「ずんずっちゃっ、ずんずっちゃっ」・・・見終わってしばらく、後遺症が残ってしまった。 「We will Rock You」のリズムとメロディがリフレインして止まらない。 ・・・これは、スラングが溢れ活気に満ちた、混沌の新宿歌舞伎町に似合ったミュージカルかもしれない。

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2005年6月10日 (金)

汐留のミュージカル「マンマ・ミーア」

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タモリが言うミュージカル嫌いが分からなくはない。 なぜそのセリフを歌わなきゃいけないんだ? ミュージカルが好きで、結構な数のステージを観ていながら、そう思うこともある。 特に日本語で歌われると、んー、ちょっとねぇ、と思うものもある。 だからこそ、この舞台をタモリに観てもらいたいと思った。・・・セリフ、ほとんど歌うけど。

アバの楽曲だけを使って作られたミュージカル「マンマ・ミーア」は、 ほとんどが日本語に乗せて聴いても不自然ではない楽曲に仕上がっている。 聞いたことがある曲ばかり、というアバのヒット曲の多さもプラスに作用している。 保坂知寿をはじめとした四季の第一線の女優・俳優が出演していることも。 そして、ラストのアンコールで確実に立ち上がってしまう構成の勝利。 だって、卑怯でしょう。あそこで「ダンシング・クイーン」は。 「らぁら、ららら・・・」と前奏が始まって、あの衣装で出てこられたら、 世代的には座ってなんかいられない。

汐留の四季劇場「海」には、都合3回出かけることになった。 ストーリーを知っているのに、毎回新鮮に楽しむことができた。 友人夫妻を誘ったところ、二人ともハマってしまい、最終公演間近の劇場に一緒に再観劇。 NYCの友人を訪問した際にも、無理を言ってチケットを取ってもらい、一緒に観た。 恥ずかしがりの日本人があそこまでノリノリだったら、 ブロードウェーではさぞや、と思って楽しみにして行ったところ、誰一人として立ちあがらず、 一度腰を浮かした私たちは、気まずくまた座りなおした。

そう。週末のブロードウェーは、NYCへのお登りさんと、時間と金のある老人のものだったのだ。 彼らは、決して安くないチケット代と人気チケットをGETする労力を惜しまない。 でも、立ち上がって踊ることはできないようだった。いや、ほんとに。 「マンマ・ミーア」は、日本の、汐留のミュージカルだった。

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2005年5月28日 (土)

シアターコクーンの怪人「グリークス」

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東急文化村に務める友人に電話をもらった。週末の公演に急に席が空いてしまい、 なんとか埋めたいが、急な話だし、何より芝居が好きじゃなければ勧められないとのこと。 なにせ3幕もの9時間、休憩を入れると半日の長丁場だ。

その公演「グリークス」は是非観たいと思っていた。その友人に事前に聞いていた情報で、心躍った。 作品と設定、演出、キャスティング、・・・何よりも勧めてくれた友人本人が興奮していた。 とは言え、チケット代も安くはない。当然話題となり、蜷川人気もあり入手も困難。 で、結果的にはチケットも予約できず、諦めていたところに、お誘いの電話だ。

これも何かの縁、「行く!二人で行く!」と迷わず答え、日曜の朝、渋谷に向かった。 支払ったチケット代は、どきどきの額。 その「どきどき」と「わくわく」とが混在した気持ちのまま、席を案内される。 コクーンの席なら分かるよと思っていると、なんと、バックステージを通った舞台裏の席。 従来の席に座る観客と向かい合せになる。 セゾン劇場の柿落し「カルメンの悲劇」を思い出し、ようやく舞台への期待「わくわく」だけが高まる。

そしてその舞台は期待以上。一幕を観終えてランチ。文化村の中の「ドゥ・マゴ」へ。 二幕を堪能した後は、東急本店の「天一」へ。ふうっ。 最後の三幕を観終わった後にはすっかり文化村の屋根裏に住む怪人になった気分。

しかし、公演時間の長さを感じさせない素晴らしい舞台だった。役者たちももちろんだけど、 蜷川さん、やっぱり凄い。 そして、感謝。こんなライブを観させてもらった友人と、蜷川さんはじめ、全てのスタッフへ。 こんな舞台に関われる仕事ができたら演劇人冥利に尽きるのだろうな。【感激日:2000年9月16日】

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2005年5月16日 (月)

ミューズ降臨「メディア」大竹しのぶ

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松尾スズキの二人芝居、「蛇よ!」をかぶりつきで観た。 目の前に、ステージに向かって取り付けた小さな階段があった。 悪い予感は当たり、芝居の最中に大竹しのぶがその階段を降りてきて、隣りの席の妻に振った。 「今日はどちらからいらしたんですか?」「うぐっ・・・」いつも冷静な妻が詰まる。 「そぉ、山梨からぁ。ぶどうが美味しいわよねぇ。」・・・何も言ってないのに、アドリブで返された。

そんな訳で、という訳ではないが、「メディア」を観に行った。

実に美しい舞台だった。幕が開くと、シアター・コクーンの高い天井から、 ステージ上に張られた水面に薄青く咲く、無数の蓮の花の上に、細く長くスポットライトが当たっている。 召使の老婆の長セリフ。水路を通ってコロスたちが現れる。長いセリフが続く。少し重かった空気が、 大竹しのぶが現れた瞬間に一変する。声だけで、舞台の雰囲気を変えてしまう。 空気が変わってしまうのだ。メディアの感情の動きがまっすぐに、伝わってくるのだ。 なぜか、水に濡れて演技していることが、必然の風景になってくる。

それにしても、この舞台の全ては大竹しのぶの存在感だ。「NODA・MAP」などの舞台を観た時に感じた セリフの「軽やかさ」「巧さ」ではなく、力感に溢れ抑揚に充ちたセリフ。 総合点でも素晴らしい舞台だった。それでも、この舞台は彼女が全てだった。 最初のアンコールの挨拶で大竹しのぶが登場したときに、身震いしたぐらい。

これだから生のステージは止められない。ライブじゃないと伝わらないものが、確かにある。 舞台でこそ輝く人がいる。誰かが「大竹しのぶが舞台に立つと、ミューズが降りてくるのが分かる」 と言ったそうだが、まさしく「メディア」の舞台にはミューズが降臨した。【感激日:2005年5月14日】

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2005年5月 9日 (月)

ラックシステムの「お○○」

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中島らもさんが亡くなったのは2004年の夏だった。らもさんらしい、と言ったら失礼かもしれないが、 それでもやっぱり最後までらもさんだなぁ、と思わせる最期だった。

その、らもさんの秘書もやっていた、わかぎゑふさんという女性がいる。 頭の良さが気持良く、切れ味が嫌味じゃない、とても男っぷりが良い関西の女性。 ラックシステムは、そんな彼女がらもさんと一緒にやっていた「リリパット・アーミー」という 劇団に飽き足らず?作った劇団だ。その芝居が、良い。実に、良い。

ラックシステムは、「お正月」「お祝い」「お願い」・・・という「お○○」シリーズの芝居を演ってきた。 この劇団は私と妻、友人夫妻2組の6人で観に行くのが恒例になっていた。 友人の一人は、コング桑田という怪優が癖になっている。妻は野田晋市という役者に熱を上げている。 私はわかぎゑふの才気溢れる脚本と(リリパとうって変わった)しっかりした構成、 しっとりした演出に織り込んだ笑いが気に入っている。「お正月」は、何度も観てしまったほどだ。 毎回3組がそれぞれ1冊パンフを買い、芝居が終った後にサインをもらう列に並んだ。 ・・・みんなで楽しみにしている、ちょっとしたイベント。

それなのに、みんな良い大人なのに、友人の5人乗りセダン1台(!?)に、 こっそり6人の男女が乗り込み、一緒に会場に向かう。 帰りの車の中では、劇中のエピソードに関わるカルトクイズで盛り上がる。 食事をしながら大笑いは続き、芝居の後に二度美味しい観劇。(しっとりした演出じゃなかったのか!)

現在、残念ながら1組のご夫婦は海外赴任になってしまい、2組でこの観劇は続いている。 彼らがいなくても、一緒に観ているような暖かで穏やかな気持になる、そんな ラックシステムの舞台は「お○○」に良い!【感激日2005年3月26日他】

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